日本初のミニピル「スリンダ錠」の導入について
- 2025年6月28日
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【スリンダ錠とは】
「スリンダ錠」は、低用量ピルの「ヤーズ」「ヤーズフレックス「ドロエチ」などに含まれるドロスピレノンという黄体ホルモンのみで作られたプロゲスチン製剤で、通常の低用量ピルには含まれているエストロゲンを含んでいない経口避妊薬のため、「ミニピル」または「POP(Progestin Only Pill)」と呼ばれ、すでに世界62か国以上で承認実績があります。
【いつから使えるの?】
令和7年6月30日に国内発売開始されます。当院では7月2日から取り扱いを開始します。
【避妊効果・仕組み】
スリンダ錠は以下の3つの作用で避妊効果を発揮します
- 排卵抑制:プロゲスチン(ドロスピレノン)により、LHサージを抑制し排卵を防止。
- 子宮内膜の菲薄化:受精卵の着床を抑制。
排卵抑制がうまく行かなかった時でも、精子と卵子が受精した受精卵を着床しにくくします。 - 子宮頸管粘液の粘性を増加:粘性が強くなると、精子の子宮ねの侵入を防ぎます。
- 臨床試験では、正しく服用された場合の避妊効果はほぼ100%近くありました。例外として、8日間連続して飲み忘れた場合の妊娠例が報告されています。
- 避妊効果を表すデータとして、パール指数があります。
パール指数は、この方法を100人の女性が1年間使った場合の妊娠する人数で表されます。スリンダのパール指数は0.41(Genzell-Danielsson K et al. 2021)で、低用量ピルのパール指数0.3〜0.9と同等と言えます。国内の臨床試験でのパール指数は0.39でした(Kitamura K et al. 2025)。
【ミニピルのメリットは?】
- 血栓症リスクが低い:血栓症の原因となるエストロゲンを含まないため、低用量ピル(OC/LEP)に比べて血栓症のリスクが少ないため、服用できる方の適応が広がりました。
- 適用対象が広い:喫煙者、高血圧、肥満、脂質異常症、40歳以上、血栓症リスクがある女性など、従来のピルの内服が禁忌だった方でも服用が可能になります。
- 月経痛・PMS症状が緩和される可能性があります
排卵抑制作用により月経は起こりませんので、PMSや生理痛も緩和される可能性が高いです。
【服用方法】
- 用量:1日1回、なるべく一定時刻に1錠服用します。
- 1シートは28日分。24錠の実薬と4錠のプラセボ(偽薬)から構成されています。これを繰り返し服用します。
- 偽薬を開始して、2,3日目に少量の出血(多くは茶色のおりもの程度)がみられることが多いですが、全く出血がないこともあります。
- 他の方法からの切替え方法:
- ピルから切り替える場合:OC/LEPの実薬を全て飲み終えた翌日から服用を開始します。
- ミレーナから切り替える場合:ミレーナを抜去した当日から服用を開始します。切り替え後の飲み始めが遅れると、避妊効果が弱くなります。
【副作用や注意点】
◆比較的頻度が高い副作用
不正性器出血(約90%)、下腹部痛、頭痛、乳房緊満感、悪心などですが、低用量ピルに比べると吐き気や血栓症のリスクは極めて低いです。
◆不正出血
使用初期(特に3か月以内)は3割くらいの方で続く場合がありますが、そのまま服用を続けることで量や頻度は減る傾向があります。
◆禁忌・慎重投与
乳がんや子宮がん、重度の肝臓や腎臓の障害、未診断の不正出血などのある場合は服用ができません。
また授乳中でも服用は可能です。
【コンドームを併用したほうがいい?】
ミニピルは避妊効果はあっても性感染症予防には効果がないため、コンドームの併用を推奨します。
【治療費は?】
スリンダ錠は避妊目的のぴるのため自費診療になります。
1シート28日分で3,850円です。
その他に初診料(3,300円)、再診料(1,650円)がかかります。
【最後に】
当院では海外製のミニピルも取り扱っております。
海外製のミニピルはスリンダ錠と違い、休薬のための偽薬がなく飲み忘れによる避妊効果の減弱が出やすいと言われています。
スリンダ錠は日本の厚労省で認可されたお薬であるため、医薬品副作用被害救済制度の対象になります。