膀胱炎とは?市販薬で治る?原因・根本治療方法|シュシュレディースクリニック 戸田公園|埼玉県戸田市の婦人科・美容皮膚科

         
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医療コラム

膀胱炎とは?市販薬で治る?原因・根本治療方法|シュシュレディースクリニック 戸田公園|埼玉県戸田市の婦人科・美容皮膚科

膀胱炎とは?市販薬で治る?原因・根本治療方法


膀胱炎とは?

膀胱炎は女性がなりやすい病気です。男性は尿道が長いため、膀胱炎にはなりにくいです。
膀胱炎は、大腸菌や腸球菌といった、普段は消化管にいる細菌の膀胱への侵入により引き起こされます。
また、性行為時の物理的刺激によって、免疫力が落ちて細菌が増殖することで、膀胱炎になることもあります。
過去に診察した患者さんの中にも、性行為するたびに膀胱炎になって悩んでいる方もいました。
膀胱炎の症状としては、排尿時の違和感、痛み、尿混濁、頻尿、血尿、下腹部痛などです。若い女性から妊婦、高齢者の方まで、幅広い年代の女性がかかります。

放置すると命に関わる腎盂腎炎(じんうじんえん)と呼ばれる重い病気に発展することもあります。よくある病気だからと軽視せず、症状を感じたらすぐに受診しましょう。
また、膀胱炎には厳密に、急性膀胱炎・慢性膀胱炎、単純性膀胱炎・複雑性膀胱炎・非細菌性の間質性膀胱炎といった細かい分類がありますが、ここでは膀胱炎の大部分を占める急性単純性膀胱炎を主軸に解説をしていきます。

膀胱炎の原因

膀胱炎の原因

  • 大腸菌などの細菌感染(最も多い原因)
  • 排尿を我慢する習慣
  • 冷え・疲労・ストレスによる免疫低下
  • 性交渉後(honeymoon cystitis)
  • 不衛生な生活習慣(ナプキンの長時間使用、排便後の拭き方など)

膀胱炎のセルフチェック

以下の症状がある場合、膀胱炎の可能性があります。

膀胱炎のセルフチェック

  • 排尿時の痛み・しみる感覚
  • 残尿感や頻尿
  • 尿の濁りや血尿
  • 下腹部の重苦しい痛み
  • 強い尿意があるのに少量しか出ない

※これらが複数当てはまる場合は膀胱炎を疑い、早めの受診をおすすめします。

膀胱炎は自然治癒する?

軽度の膀胱炎であれば、体の免疫力とこまめな排尿によって自然に改善することもあります。
ただし注意点があります

  • ①自然治癒を期待して放置すると、腎盂腎炎(高熱・腰痛)に悪化するリスクがある
  • ②特に妊婦や基礎疾患のある方は悪化しやすく、必ず医療機関で治療すべき

※「自然治癒は可能だが、放置は危険」これが膀胱炎の現実です。下記に実際に放置され、悪化してしまった事例を紹介します。

実際の患者様のケース

職場環境で膀胱炎が悪化

普段は会社員の方でデスクワークをしている女性の患者様が来院されました。排尿時にピリッとした痛みを感じるようになり、1日10回以上の頻尿、さらに目で認識できるほどの血尿があり、同僚のすすめもあって当院を受診されたという経緯です。

尿の迅速検査で膀胱炎と診断、抗生物質を5日分処方しました。次の日にはだいぶ改善し、3日ほどで症状がなくなりました。女性の社会進出が推進され、より多くの女性の方が膀胱炎の症状で悩まされている現状を見てきました。

受診される方だけでも相当数いますが、小さな症状に悩まされながらも「病院に行くほどではないかな」と我慢している予備軍的な発症者も含めれば、かなりの女性の方が膀胱炎を抱えながら生活しているのではないかと感じられます。

とくに夏の時期は膀胱炎の症状で受診される方が多い傾向です。冷房により体が冷えやすく、仕事上トイレを我慢しがちな方も多いため、膀胱炎になりやすいのだと推測します。

膀胱炎にかかっているときに性行為をすると、弱っているところにさらに別の病原体の侵入を許してしまうことにもなり、別の病気を併発する可能性も考えられます。さらには、症状を放置することで、腎盂腎炎に発展することがあります。

排尿時の違和感や頻尿、下腹部痛は、よくある女性の悩みだからこそ、「時間が経てばよくなるだろう」と安易に判断せず、気になったらすぐ医療機関に相談してほしいです。

そして、冷房にさらされて凍える思いをしていたり、トイレを我慢する環境を強いられていたりするのだとしたら、環境を改善する働きかけはできるだけしたいところです。

このケースで自分で予防できる習慣

  • 用を足した後は「前から後ろ」へ拭き取る
  • ナプキンはこまめに取り替える
  • 性器周りを清潔に保つ

膀胱炎は繰り返し発症することの多い病気ですが、生活習慣の見直しによって再発を防ぐことができます。

放置すると危険!腎盂腎炎(じんうじんえん)になった方のケース

腎盂炎とは

以前より膀胱炎を繰り返していたものの、自然に治っていたので、とくに医療機関にはかからず過ごしてきた方がいました。しかし、あるとき膀胱炎の症状だけでなく、発熱や腰の痛みといったこれまでに経験したことのない症状が併発したため、大慌てで当院を受診されました。

診察したところ、腎盂腎炎の疑いがありました。迅速な精密検査が必要となり、対応している病院の救急外来を受診していただくことになりました。

軽症の腎盂腎炎であれば、点滴もしくは内服薬で抗生物質を体に取り入れることで、症状は緩和されていきます。重症ですと入院が必要となり、治療による体への負担も大きくなります。何度も膀胱炎が繰り返しているのであれば、早い段階で医療機関で診てもらうようにしましょう。

もう1つ精密検査が必要な症例として、男性が膀胱炎にかかったケースもあります。膀胱炎は女性がなりやすいといいましたが、ごくまれに男性が発症することもあるのです。

男性の膀胱炎は、膀胱結石や膀胱がんといった、細菌の侵入以外の原因も考えられます。当院に膀胱炎で悩んでいる男性が来院された際は、精密検査が可能な病院を紹介しております。

膀胱炎に市販薬はある?

膀胱炎の根本治療は抗菌薬(抗生物質)ですが、市販では抗菌薬は販売されていません。
そのため市販薬は対症療法(症状を和らげる)が中心になります。

市販薬で期待できる効果

  • 痛みや残尿感の軽減(鎮痛・消炎成分入り)
  • 膀胱粘膜の保護による症状緩和
  • 尿のアルカリ化による不快感の軽減

市販薬の例

  • ボーコレン(小林製薬)
  • 漢方薬(猪苓湯・五淋散 など)

※市販薬は根本治療にならず、一時的な緩和にとどまるため、根本治療を行いたい方や症状が続く場合は必ず病院に受診しましょう。

当院の治療方法と流れ

当院は産婦人科ですが、膀胱炎の治療も行っております。※内診は行いません

膀胱炎の症状でご来院された場合

  1. 受付後、院内のトイレで検尿コップに尿を採取していただき、検尿を行います。
  2. 検尿の検査結果は数分程度で判明しますので、診察に順番で呼ばれるまで待合室でお待ちください。
  3. 診察室で結果をお伝えして抗生物質の処方をいたします。(おりものの異常がなければ内診は行いません)
  4. 受付で会計を済ませて帰宅できます。

※処方された抗生物質は症状が途中で治まっても最後まで飲み切ることが重要です。途中でやめてしまうと再発しやすくなります。

※症状が治まりましたら再診は不要ですが、飲み切ってもなお症状が良くならない場合は、再診をお願いいたします。

まとめ

  • ◆市販薬は症状緩和のみで根本治療にはならない。
  • ◆医療機関が処方する抗菌薬で数日で改善可能。
  • ◆膀胱炎は女性に多い身近な病気だが、放置は危険で重症化することがある。
  • ◆軽症なら自然に治る場合もあるが、放置は腎盂腎炎リスクにつながる。
  • ◆症状が軽くなっても処方薬は最後まで内服することが重要。
  • ◆再発しやすいため、生活習慣の改善も必要。

「自然治癒を待つ」よりも、市販薬は応急処置として使い、早めの受診で確実に治すことが最も安全です。

自宅でできる対策(再発予防)

  • 水分を多めに摂り、尿をこまめに出す
  • 下腹部や体を冷やさない
  • カフェイン・アルコール・辛い食事など膀胱を刺激する飲食を控える
  • 生理用品はこまめに交換する
  • 性交後は早めに排尿する