卵管炎・卵巣炎とは|シュシュレディースクリニック 戸田公園|埼玉県戸田市の婦人科・美容皮膚科

         
土曜も午前・午後
診療しています
〒335-0022埼玉県戸田市上戸田2-7-9
TEL,048-242-8088
ヘッダー画像

卵管炎・卵巣炎とは

卵管炎・卵巣炎とは|シュシュレディースクリニック 戸田公園|埼玉県戸田市の婦人科・美容皮膚科

卵管炎・卵巣炎とは

卵管炎・卵巣炎とは

卵管炎は、細菌などが膣や子宮を通って卵管に感染し、炎症を起こしたもので、卵巣炎を併発することがあります。
「下腹部がズキズキ痛む」「熱が続く」「おりものがいつもと違う」そんなときに疑われるのが卵管炎(らんかんえん)や卵巣炎(らんそうえん)です。これらはまとめて「付属器炎(ふぞくきえん)」と呼ばれることもあります。
放っておくと不妊症や慢性的な痛みにつながることもあるため、早めの受診がとても大切です。

卵管炎・卵巣炎の症状(どこが痛む?)

炎症の程度によって症状はさまざまですが、典型的なものは次の通りです。

  • 下腹部の痛み(左右どちらか、または全体的に)
  • 性交時の痛み(性交痛)
  • 生理痛が強くなる、月経不順
  • 発熱、悪寒
  • おりものの増加・異臭
  • 全身のだるさ、吐き気

急性期や炎症が強いときには、強い下腹部痛と圧痛(押すと強まる痛み)があり、38~39度の発熱を伴います。膿性のおりものがみられることもあります。炎症が骨盤腹膜に及ぶと、吐き気や嘔吐、排尿痛などの膀胱炎に似た症状などを起こすことがあります。
慢性期になると、急性期の強い症状はなくなりますが、下腹部の鈍痛やひきつれ感、腰痛などが長く続きます。
また、卵管の癒着・閉塞によって、将来的に不妊症や子宮外妊娠の原因になることがあります。

卵管炎・卵巣炎の違い

女性の子宮の両側には「卵管」と「卵巣」があります。卵管は、排卵された卵子を子宮へ運ぶ細い管で、卵巣は卵子をつくる臓器です。このどちらか、もしくは両方に炎症が起こる状態を以下のように呼びます。

名称 炎症が起きる場所 特徴
卵管炎 卵管 感染が起こると卵管が腫れ、卵子の通り道が狭くなる
卵巣炎 卵巣 卵巣に炎症が広がり、膿がたまることもある
付属器炎 卵管+卵巣 両方に炎症が及んだ状態。発熱や強い痛みが出ることが多い

卵管炎・卵巣炎の原因

多くは細菌感染によって起こります。代表的な原因菌は以下のようなものです。

  • クラミジア
  • 淋菌(りんきん)
  • 大腸菌やブドウ球菌などの一般細菌

卵管炎のおもな原因は、膣から侵入した細菌で、子宮頚管の炎症から子宮内膜、卵管と感染が波及して起こります。外陰部は肛門と近いので、主な原因菌として多いのが大腸菌ですが、性行為によるクラミジアや淋菌の感染(性行為感染症)が原因の場合も少なくありません。とくに最近、若い女性の間でクラミジア感染症が蔓延しているのが問題です。
そのほか、オーラルセックスなどによって、口腔内の菌が原因で付属器周囲炎を起こすことも知られています。

放置するとどうなる?

炎症が進むと、卵管が癒着して閉塞し、中に滲出液や膿がたまって腫れあがる(卵管留膿腫)ことがあります。卵巣や子宮、骨盤の内腔をおおう腹膜(骨盤腹膜)、直腸、膀胱などと癒着を起こすこともあります。
炎症が骨盤腹膜に及んだものを骨盤腹膜炎といいます。骨盤腹膜炎が重症になると、骨盤腔の下方(ダグラス窩)に膿がたまって、膿瘍をつくることもあります(ダグラス窩膿瘍)。

診断方法

婦人科では以下のような検査で診断します。

  • 内診:子宮や卵巣の圧痛を確認
  • 経腟エコー(超音波)検査:炎症や膿の有無を確認
  • おりもの検査・培養検査:菌の種類を特定
  • 血液検査:炎症の強さを確認(白血球数やCRP)

必要に応じてクラミジア・淋菌のPCR検査を行うこともあります。

治療方法

炎症が激しい急性期には、抗生物質や抗菌剤で治療します。症状が強い場合は入院が必要になることもあります。
慢性期には抗生物質の投与のほか、消炎鎮痛薬などの対症療法を併用します。
卵管留膿腫、ダグラス窩膿瘍、卵管閉塞による不妊、周辺臓器との強度の癒着などがあるときには外科的な処置(腹腔鏡や開腹による手術)を検討します。
慢性化するとやっかいな病気で、とくに若い女性にとっては深刻な不妊の原因にもなりますから、なんらかの感染のあとに症状が出たときにはすぐに受診してください。

主な治療の流れ

  1. 診察・検査
  2. 抗生剤の投与(内服または点滴)
  3. 安静と保温
  4. 治癒するまでの期間は、性交の中止
  5. パートナーの同時治療(性感染症が疑われる場合)

再発予防のポイント

  • 性行為時はコンドームを使用する
  • 不正出血や下腹部痛が続くときは早めに受診
  • ピルやIUD使用中の人は定期的に検診を受ける
  • 体調不良や免疫低下時は無理をしない
  • パートナーも一緒に検査・治療を受ける

まとめ

卵管炎・卵巣炎は、放っておくと不妊症や慢性的な痛みに発展する可能性のある病気です。
「なんとなく下腹部が重い」「おりものが増えた」と感じたら、早めの婦人科受診を。
身体を守る第一歩は、自分の体の変化に気づくことです。気になる症状があるときは、無理せず相談してみてください。