カンジダの症状と治療方法
カンジダの症状と治療方法

カンジダと呼ばれる真菌(カビの一種)の増殖によって起こる感染症を「カンジダ症」といいます。
「デリケートゾーンがかゆい」「カッテージチーズのようなおりものが出る」こうした症状で悩んでいる方は、「カンジダ症」の可能性があります。
カンジダは、実は誰の体にも存在する常在菌の一つであり、ほとんどが免疫力や生活環境の変化によって発症する病気です。
また、性行為をきっかけに傷ができて、もともと持っていたカンジダ菌がその傷から入って症状が出るというケースもあります。
そうした特性から、カンジダを性病だと思っている方は意外と多いですが性病ではありません。性交未経験の方にも発症します。
性交渉によって症状が悪化することはありますが、他人に感染させることはほとんどありません。
確かに、性交渉によって症状が悪化することがありますが、他人に感染させたりする可能性はほとんどありません。
カンジダはカビですから、私たちの日常生活の場に多く存在しています。あんまり考えたくありませんが、私たちは知らないうちに、カンジダを食べ物と一緒に飲み込んでいたり、口の中や手や皮膚についていたりするものです。
当然男性のペニスの表面(皮膚)にも存在しますので、性交渉の際の出し入れによって、男性と女性の間を行ったり来たりします。男性は性器が外に出ているため乾燥することでカビであるカンジダが増殖しにくいので症状は表れにくいです。
ではなぜ、カンジダは多くの人が保菌しているのに、症状が出る人と出ない人がいるのでしょう?
人間の皮膚や膣粘膜は、雑菌から身を守るための強力なバリア機能を有しています。しかし、皮膚を何かで擦ったり、引っ搔いたりすることで小さな傷ができると、皮膚のバリア機能が破綻し、そこから奇しくも雑菌が侵入することで局所的な炎症が起こります。炎症は白血球やリンパ球といった今度は体内で防御機構を発揮する細胞と雑菌の戦いによって、サイトカインなどの炎症物質が放出され、腫れや赤み、かゆみ、痛みなどの症状を引き起こすと言われています。
男女ともに見た目だけでは判断が難しい場合があり、培養検査が必要です。
カンジダ症の治療は、症状の確認から再発防止までを段階的に行います。以下では一般的な治療の流れをわかりやすくまとめています。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 問診・診察 | まず、症状(かゆみ・おりもの・痛みなど)の詳細や発症時期、過去の治療歴、性交渉の有無などを確認します。 医師が外陰部や膣内の状態を視診し、必要に応じて検査を行います。 |
他の性感染症との区別が重要です。 |
| ② 検査(培養・顕微鏡検査) | 膣分泌物や皮膚を綿棒で採取し、顕微鏡や培養によってカンジダ菌の有無を確認します。 細菌性膣炎やトリコモナス膣炎など、他の疾患の除外も行います。 |
正確な診断が適切な治療につながります。 |
| ③ 治療開始(抗真菌薬の投与) | 症状や重症度に応じて、 ・膣錠(腟内に挿入) ・外用クリーム(外陰部に塗布) ・内服薬(再発性の場合) などを使い分けます。 治療期間は通常1週間前後です。 |
医師の指示に従い、自己判断で中断しないようにしましょう。 |
| ④ 経過観察・再診 | 治療後に症状が軽快しても、菌が残っていることがあります。 必要に応じて再検査を行い、完治を確認します。 |
再発を防ぐために、完全に治るまで治療を継続します。 |
| ⑤ パートナーへの確認・再発予防 | パートナーにも症状がある場合は、同時治療を行うことで再発リスクを下げます。 再発予防のために以下も意識しましょう。 |
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多くの方は、適切な治療を行えば1〜2週間程度で完治します。
ただし、症状を繰り返す場合は、生活習慣や体調面の見直しも必要です。
夜も眠れないくらいのかゆみで来院した患者様
培養検査の結果、腟からカンジダが検出され、「カンジダ性外陰炎」と診断。
抗真菌薬の塗り薬を処方したところ、数日で症状が軽くなり、1週間後には見た目も元通りになりました。
この患者様は臭いが気になり、スポンジで念入りに性器周辺を洗っていたそうです。
外陰部の洗いすぎにより、デリケートな部分の皮膚に小さな傷ができ、そこからカンジダが入り込んで炎症を悪化させてしまうことがあります。
「清潔に保とうとしすぎる」ことが、かえって悪化を招く典型的なケースです。
「歯の治療で処方された抗生物質を服用していたところ、性器のあたりに異変が出てきて……」
そう訴えて来院された患者様を診察すると、カッテージチーズ状のおりものがみられました。
かゆみなどの強い症状はありませんでしたが、カンジダ膣炎を疑い、培養検査を実施。
結果、カンジダが検出され、抗真菌薬を処方したところ、1週間後には症状が改善しました。このケースでは、他科で処方された抗生物質の服用が原因でした。
抗生物質は細菌を退治しますが、同時に腟を守っている「善玉菌」も減らしてしまいます。 そのため免疫バランスが崩れ、カンジダ菌の増殖を許してしまったと考えられます。
必要があって処方された抗生物質によってもカンジダになることがありますので、抗生物質服用中は症状に注意が必要です。
ある患者様は、パートナーの性器にかゆみがあることをきっかけに 「何か感染させられたのではないか」と疑い来院されました。
患者様自身にも性器のかゆみとおりものの増量があり、「もしかしたらカンジダかも?」と思って検査を希望されました。カンジダの有無を培養検査で確認したところ、結果はカンジダは陰性でしたが、性病のクラミジアが陽性でした。クラミジアは不妊症の原因になりますので、パートナーとの同時治療が必要になりました。
このように、同じような症状でもカンジダではなく、別の重大な病気であるケースも多く、独自で判断せず、医師の診断を受けることが大切です。
軽症であれば、体調回復とともに自然に治ることもあります。 最近は、市販でカンジダのお薬が購入できるようになりました。最初は市販のお薬を使ってもよいのですが、なかなか症状が改善しない場合や、かえって症状が悪化する場合は、そもそもカンジダによる症状ではない可能性があります。カンジダだと思い込み、実は性感染症だったという例は少なくありません。
早く症状を改善させたい場合や、心当たりのある性交渉をきっかけに症状が出現している場合には、独断でお薬を使い続けるのではなく、すぐに信頼できる病院へ受診するようにしましょう。
また、ストレスの蓄積や疲労による免疫力の低下、ホルモンバランスの乱れなどがきっかけとなり、腟の常在菌のバランスが崩れます。
膣の常在菌である乳酸菌の一種が膣を酸性にすることで、他の雑菌が増殖することを抑制してくれています。生活習慣の悪化や、抗生剤の服用により乳酸菌が減ることでカンジダが膣で増殖し、炎症やかゆみなどの症状が現れます。そのため、一時的な治療だけではなく、体調や生活習慣を整えることもカンジダを再発させにくくするための予防になります。
カンジダを繰り返している方から「再発を防ぐ方法はないのか?」と質問されることが本当に多いのですが、答えは「ありません」なのです。なぜならば、カンジダは私たちの日常生活の場に共存する菌であり、この世から撲滅させることができないからです。
カンジダになりやすい人は、性交渉の回数が多く膣や外陰部に傷ができやすかったり、睡眠不足や疲労による免疫力の低下があったり、膣や外陰部を洗いすぎたり、体調が悪いとすぐ抗生剤を服用するなどの習慣があったりすることが多いです。こういったものは習慣ですから、自分では気づいていないことが多いです。カンジダを繰り返す場合には、このような生活習慣が知らず知らずに自分の身体をカンジダになりやすい身体にしてしまっていないか、よく振り返ってみることも大事です。
女性では「クロトリマゾール」「ミコナゾール」などの抗真菌薬が市販されています。
ただし、次のような方は必ず医師に相談してください。
男性の場合は市販薬での治療が難しく、医師の処方が必要です。
カンジダ症は誰にでも起こりうる病気です。軽症なら数日で治りますが、放置すると慢性化することもあります。
「かゆみ」「おりもの」「臭い」などに気づいたら、早めに婦人科を受診してください。
正しい治療と生活改善で、再発を防ぐことができます。
性病ではありません。カンジダ菌は常在菌であり、誰の体にも存在しています。免疫力の低下などで自己増殖して発症することが多いです。
軽症であれば自然治癒することもありますが、再発の恐れがあるため受診がおすすめです。我慢できない程の痒みや痛みを感じるような重度の症状が出ている場合はすぐに医師に相談してください。
カンジダを繰り返す場合やパートナーに症状がある場合は、同時治療が望ましいです。
通気性のよい下着を着用し、ストレスや睡眠不足を避け、デリケートゾーンを洗いすぎないことが大切です。
体調やホルモンバランスの乱れ、抗生剤使用、洗いすぎ、ストレス、性行為による損傷などが関係します。