
卵巣腫瘍とは
卵巣腫瘍とは
「卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)」とは、卵巣に生じるしこりやふくらみを指します。卵巣は子宮の左右に一つずつあり、排卵やホルモン分泌を担う臓器ですが、ここに腫瘍が発生することがあります。
腫瘍は発生する細胞の種類により多彩です。腫瘍=がんではなく、多くは良性ですが、境界悪性(悪性度が低いがん)や悪性(卵巣がん)もあります。腫瘍が大きくなっても自覚症状が乏しく、見つかった時点で進行していることもあります。
卵巣は腹腔の奥にあり外とつながっていないため、初期は症状がほとんど出ません。いわゆる沈黙の臓器です。進行すると次の症状が現れることがあります。
放置すると、腫瘍がねじれる卵巣腫瘍茎捻転を起こすことがあり、突然の激痛で緊急手術が必要になります。腫瘍破裂により内容物が腹腔に漏れて強い痛みを生じる場合もあります。
明確な原因は未解明ですが、関与すると考えられている要因は以下のとおりです。
年齢とともに発症リスクは上昇し、40代以降に多くみられます。
治療は腫瘍の大きさ・性質(良性/悪性)・年齢・妊娠希望の有無などで異なります。基本は手術治療です。
一部の良性腫瘍ではホルモン治療等で縮小が期待できる場合があり、妊娠希望がある場合は卵巣温存を優先して計画します。
超音波検査(経腟エコー)で比較的容易に発見でき、血液検査の腫瘍マーカー(CA125など)で悪性の可能性を評価します。必要に応じてCT/MRIで性状や周囲臓器への影響を確認します。
婦人科の定期検診により早期発見は十分可能です。
卵巣は症状が出にくいため、定期健診が最も有効な予防策です。「お腹が張る」「急に太った気がする」と感じたとき、実は腫瘍や腹水が原因のこともあります。通常の卵巣は2〜3cmですが、放置で20cm以上に拡大する例もあります。
早期発見に有用な検査:
40歳以降は年1回の婦人科検診を推奨します。卵巣腫瘍は初期症状に乏しい一方、定期検診で早期発見できれば多くが治療可能です。お腹の張り、下腹部痛、生理以外の出血など気になる症状があれば早めに受診してください。
排卵に伴う一時的な腫れ(機能性嚢胞)は自然消退することがありますが、真の腫瘍は自然治癒は稀です。放置せず定期的な経過観察が必要です。
腫瘍が大きい、痛みやねじれのリスクがある、悪性が否定できない場合は良性でも手術適応となります。
経腟エコーは卵巣の評価に有用で、異常の早期発見に役立ちます。定期検診の受診が重要です。