
ホルモンの異常について
ホルモンの異常について
日本人の女性の平均的な閉経年齢は50~51歳くらいといわれ、この前後5年間ほどを更年期といいます。この間に現れる様々な症状の中で、他の病気による症状ではないものを更年期症状といいます。さらにその中でも、症状が重いため日常生活に支障をきたしている状態を更年期障害といいます。
更年期障害は、女性ホルモンの急激な低下や、生活環境の大きな変化などの複合的な要因によって生じると考えられています。
更年期障害の主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)の減少であるため、ホルモン補充療法が有効です。更年期症状の改善だけでなく、高コレステロール血症や動脈硬化、骨粗鬆症、認知症の予防にも効果があります。
ホルモン治療に抵抗がある方は、漢方薬による治療を行います。漢方薬は女性と相性が良いものが多く、東洋医学的な診察(脈の強さ、舌の色、お腹や背中の診察など)をすることによって、最適な漢方薬を処方します。
漢方療法、ホルモン補充療法など、一人ひとりに合わせて薬を選択していきます。
つらい症状を我慢せずに、まずはご相談ください。
正常な月経周期は25~38日間(月経初日から次の月経までの日数)で、出血は3~7日間続くといわれています。
月経の初日から次の月経までの間に、卵巣と子宮が妊娠の準備を行います。
月経周期の前半では、卵巣から出る女性ホルモンの作用で、子宮は受精卵を着床しやすくするために子宮内膜を少しずつ厚くします、卵巣では卵子が成熟していきます。
月経が規則的な場合、月経と次の月経の間の中間くらいで排卵が起こります。卵巣と子宮の間の卵管という細い管のところで精子と出会い受精卵になります。受精卵は卵管を子宮に向かって進み、1週間から10日くらいして厚くなった子宮の内膜にくっつきます。これを着床と言います。その後も、卵巣から出る女性ホルモンが子宮の中で受精卵が成長していくのをサポートしていきます。
ところが、受精卵が子宮に着床できなかった場合には、次の妊娠に向けて、子宮の内膜は子宮から剥がれて出血とともに排出されます。この現象が月経になります。
月経不順とは、月経の周期が乱れたり、月経が長期間来なかったりすることです。ほとんどの場合、女性ホルモンのバランスの乱れによっておこりますが、それ以外に甲状腺ホルモンやプロラクチン(下垂体ホルモン)などの異常によっても月経不順を来たすことがあります。
ストレスをはじめ、過度な運動やダイエット、太りすぎなどの生活習慣が原因のこともあります。月経不順が続くと、いざ妊娠したいと思ったときに妊娠しづらかったりします。
さらに月経不順の治療は、数ヶ月から数年間かかることもありますので、早めに原因について調べておく必要があります。
治療は、ホルモン治療から漢方薬による治療まで様々あります。患者様おひとりお一人に最適な治療をご提案できるように診察させていただきます。
生理期間以外や、閉経後の腟からの出血を「不正出血」と言います。
閉経前の方の不正出血は、子宮のがんや性感染症などの症状のこともあり、そのような悪い病気ではないことが否定できれば、排卵時の出血や、ホルモンバランスの乱れによるものと判断することができます。
きっと大丈夫だろうとご自身で判断せずに、一度ご相談いただき、検査を受けることをおすすめします。
特に、閉経後の不正出血は、病気のサインであることも多いため、必ず早めに受診してください。
PMS/PMDDは月経周期と関連することから、女性ホルモンが関係していることが指摘されていますが、はっきりとした原因は解明されていません。
近年では、PMS/PMDDの発症には感情に関わる神経伝達物質の量や働きが関与しているのではないかということが指摘されており、こういったホルモンや神経伝達物質などの体内環境に加え、ストレスなどのさまざまな外部からの要因が合わさり、PMS/PMDDが引き起こされるといわれています。
月経前、3~10日の間に起こる心身の様々な不快症状で、月経開始とともに急速に軽快・消失します。身体的症状としては、頭痛、手足のむくみ、腹部膨満感、乳房痛・緊満感などがあります。精神的症状としては情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安感、眠気、倦怠感などがあります。
月経前に毎月出現し、月経開始後に緩和することが特徴であるため、診断ではまず出現症状を記録し、月経周期との関連を確認します。適度な運動で生活習慣の改善、鎮痛薬、低用量ピルなどのホルモン剤、利尿系漢方薬などに効果があります。